願いを叶えるおにぎり屋とマコトの物語
昔々、とある小さな町に、人見知りで何をやってもうまくいかない青年マコトが住んでいました。
仕事はミスばかり、趣味も続かず、友達とも疎遠になり、毎日がつまらないと感じていました。
「あ〜あ、今日もミスった。どうして上手くいかないんだろう?」
やる気が出ないまま、下を向いて歩いていると、いつもと違った道に迷い込んでしまいました。
「あれれ、こんなところにお店とかあったかな?」
「おにぎり屋」の看板を見つけたマコトは呟きます。
看板にはこう書かれていました。
> 「願い事ひとつ、おにぎりひとつ」
> 「ただし、食べた後は行動すること」
マコトは「変わった店だな?本当に叶うのかな?」と半信半疑ながら、店に入ることにしました。
おにぎり屋店主との対話
店には、笑顔の優しいおばあさんが座っていました。
店内には棚にずらりと並んだおにぎりが置かれており、それぞれに不思議な名前がついています。
– 「勇気の梅おにぎり」
– 「集中の昆布おにぎり」
– 「健康の鮭おにぎり」
– 「友情のたらこおにぎり」
「どれにしますか?」とおばあさんが尋ねると、マコトは少し考え、「勇気の梅おにぎり」を選びました。
「このおにぎりを食べたら、心に勇気が湧いてくる。ただし、その勇気をどう使うかは自分次第よ」とおばあさんは微笑みます。
最初の挑戦:勇気を試す
勇気の梅おにぎりを食べた後、不思議とマコトの胸の奥に力が湧き上がるような感覚がしました。
「何かやらなきゃ!」という気持ちに突き動かされ、彼はずっと連絡を取っていなかった旧友にメッセージを送りました。
「元気にしてる?久しぶりに会おうよ」
そのメッセージを送るのは、マコトにとって大きな勇気のいる行動でした。
けれど、友人からすぐに返事が来て、「もちろん、会おう!」という嬉しい言葉が返ってきました。
「たったこれだけで、こんなに気持ちが変わるんだな。勇気の梅おにぎり、凄いな・・」とマコトは呟きます。
次の挑戦:集中の昆布おにぎり
勇気が出るようになったマコトは、再び「おにぎり屋」を訪れていました。
次に選んだのは「集中の昆布おにぎり」でした。
仕事でミスが多かった彼は、このおにぎりを食べた後、自然と机に向かい、仕事の進め方を見直し始めました。
– やるべきことをリスト化する。
– スマホを遠ざける。
– 一度にひとつのことに集中する。
おにぎりの力が直接彼の手を動かすわけではありませんでした。
しかし彼自身の行動が変わったことで、仕事のミスが減り、上司からも褒められるようになりました。
友情のたらこおにぎり
おにぎり屋のおかげでマコトは、勇気を出して行動したり、集中できるようになったと喜んでいました。
そこで再び、おにぎり屋を訪れます。
そして「友情のたらこおにぎり」を手に取りました。
疎遠になっていた友人たちとの関係を取り戻したいと思っていたからです。
このおにぎりを食べた後、彼は同窓会を企画することを思い立ちました。
「みんな忙しいだろうし、集まらないかもしれない」と不安に思いながらも、誘いのメッセージを送りました。
結果、多くの友人が参加を表明し、久しぶりにみんなで集まることができました。
笑顔で語り合う中で、マコトは心が満たされるのを感じました。
健康の鮭おにぎり
その後、すっかり「おにぎり屋」の常連になったマコトは、「健康の鮭おにぎり」も食べるようになりました。
すると体の中から元気になる気がします。
健康に意識がいくようになって、前より体を動かすようになりました。
いい加減だった食事も栄養バランスを考えるようになります。
あ〜「おにぎり屋」のおにぎりって、ホントに凄いなと感じながら、充実した幸せで健康な毎日を送るようになっていました。
「おにぎり屋」が消えた
すっかり元気になったマコトは、いつものように「おにぎり屋」に行こうとしました。
しかし店がある場所に行くと店は忽然と消えています。
道を間違ったかと思い確認しますが、確かに同じ場所です。
何が起こったんだろうとビックリしつつ、もう一度目を凝らしながら周りを見渡していると
突然、頭に「おにぎり屋」の優しいお婆さんの声が聞こえてきます。
「願いを叶えるのは、おにぎりではなく、あなたの行動なんですよ」
不思議な気持ちになりながらも、そうか、おにぎりはキッカケにすぎなくて、行動に繋げることで願いは叶うんだと気づきます。
教えてくれた「おにぎり屋のお婆さん」に心からの感謝を捧げながら、その場で深く深く頭を下げるマコトです。
そしてマコトは「願いを叶えるためにも、勇気を出して行動しよう」と決意しました。
今では時々、おにぎりを自分で作って、思い出しながら微笑み幸せを実感するマコトです。